2013年3月17日日曜日

不妊に悩んだら



○「不妊は女性、DVは男性」という偏見


基本的には女性の体を妊娠に適した状態にするための考え方を書き留めておきますが、
不妊は女性側だけの問題じゃない。


「不妊っていうのは男性側に問題が無い」っていうレッテルに苦しむ女性も多く居るんだけど、
それは間違いだし、それで傷つけられる筋合いも無い。



生産性のある悩み方をしよう。
正しい解決法を見つける方向で悩む、どうせなら。

不毛な言い争いで傷つけあうのはバカらしい。















◇女性の「鉄欠乏」と男性の「亜鉛欠乏」


不妊症改善を目的でサプリメントを摂取する方は、
「鉄」、「ビタミンE」、「ビタミンB群」が配合されたサプリメントを選ぶようにして下さい。


不妊症の典型的なパターンは、女性の「鉄欠乏」と男性の「亜鉛欠乏」であることが分かっています。


女性の鉄分が不足すると、粘膜の代謝がうまく行われないために、
子宮内膜が正常な状態になれなくて、着床しづらい状況になるからです。
一方、男性が亜鉛欠乏だと、精子の数や働きに問題が起こります。


亜鉛は非常に大切なミネラルであり
精子形成や前立腺の働き、精子の運動と活性化にもかかわっていて、
別名「セックスミネラル」とも言われています。
それにもかかわらず、男性に亜鉛欠乏が多いのです。

亜鉛が欠乏すると、意欲の低下や性欲の低下が起こるのも特徴です。



また、ビタミンE不足でラットが不妊になることは今や常識です。
女性ホルモンや男性ホルモンの材料であるビタミンEの摂取は必須でしょう。

さらに、卵子の理想的な成熟には、ホルモンだけでなく、
卵巣におけるたくさんの酵素蛋白などの連携チームワークが大事です。

それにはアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどの十分な栄養素に満ちた体内環境が必要です。



赤ちゃんの脳は、妊娠6週目までに神経細胞がほぼ完成するため、IQの高い赤ちゃんを生むためには、
妊娠前からのビタミンB群摂取がお薦めです。

また、脳の神経伝達物質の材料であるビタミンB群を、
母体から十分にもらって生まれてきた赤ちゃんは、夜泣きが少なく丈夫で育てやすいと言われています。












■小さく産んで大きく育てる、は間違い


新潟大学の内山教授によると
低体重で生まれた子どもほど将来高血圧や心筋梗塞になりやすい、
小さく生まれて大きく育った子どもほど、
若年時より血圧が高い傾向にあると述べています。

 





■妊娠から出産まで赤ちゃんの元気は母体が決める


子どもの健康の基盤は、母体によって決まります。
母体の栄養状態が悪いと赤ちゃんは充分な栄養を蓄えることが出来ません。


低体重児(未熟児)として生まれることもあります。

低体重児は身体の器官が未発達であることが多く
このときに栄養欠損があると、発育遅延のリスクが考えられます。

また、お母さんからたっぷり栄養をもらってきた場合、その免疫力は少なくとも半年は持ちます。
家族中が風邪を引いても、赤ちゃんだけは大丈夫なことが
ありますが、それはお母さんからもらってきた免疫力のおかげです。


でも低体重児の場合はその免疫力がたった2ヶ月で切れてしまうのです。
妊娠を願う人、妊娠中、そして母乳を必要とする産後に至るまでぜひ摂って欲しい栄養素の代表格は、身体すべてを育むための材料となるタンパク質、脳神経の発達に影響を及ぼす鉄、皮膚・粘膜の材料になる亜鉛、そして夜鳴きを抑えてくれるビタミンB6。


赤ちゃんのためにも、母体のためにも、こうした栄養素が必要なのです。












・妊娠中に辛さを回避


栄養をしっかりと摂取した母体を手に入れた妊婦さんはつわりがほとんど見られず、あってもごく軽いものですみます。
これはしっかり栄養を摂っているためだと思います。

また、妊娠中期あたりから増え始め、後期に進むにしたがってひどくなるむくみもありません。

むくみがあると夕方になるにつれ身体が重い、だるい、疲れやすいなどの
症状が見られます。妊娠しているから仕方ないと思っている新婦さんも多いのですが、
これも蛋白質などの栄養を適切に補うことで解消します。

むくみがなくなると血圧も安定しますし、体重コントロールもしやすいでしょう。


次に貧血。
これも妊娠後期に向かって多く見られます。

妊娠すると体内の血液の量が増えます。
それにともなって身体も血液をつくる作業をがんばろうとするのですが、追いつかず、
血液が薄まることになり、貧血となってしまうのです。
通常の場合、そこで産婦人科で処方される鉄剤を飲むわけですが、
この章でもお話したように、鉄剤は非ヘム鉄なので吸収率が悪いのです。
保険適応のヘム鉄はないので、非ヘム鉄を処方されるのは仕方のないことなのですが…。


妊娠中は、鉄の必要量が増加し、相対的に不足するのですが
鉄分の重要性を知っている妊婦さんは吸収率のいい鉄分(ヘム鉄)をとるようにしていますので、
貧血も無く、とにかく元気です。


また、妊娠食はホルモンの影響から、
後期は大きくなった子宮に腸が圧迫されることから便秘になりがちです。

妊娠中は身体が劇的に変化していきますので、どうしても気持ちが不安定になるものです。

つわりのときにイライラしたり、赤ちゃんに会えるのが嬉しい気持ちと不安に思う気持ちが
言ったり来たりして、気持ちが一定しないのです。

栄養不足を解消すれば、気持ちの面でも安定し、楽しく元気にマタニティライフを
送ることが出来るのです。






・出産時に起きる良いこと

貧血が少ないため、出産時の出血が少なく、お産も軽くなります。
そのため、産後の肥立ちがよく、生まれたあとのお母さん自身の貧血がないために
非常に元気なのが特徴です。
また、うまれてくる時期や体重が理想的なのも特徴。
早すぎず遅すぎず、3000g前後の適切な体重で生まれてくるケースが殆どです。







 

 

■タンパク質

妊娠体質をつくるためにまず欠かせないのが、タンパク質です。
新しい命を生み出すためにも、その材料は不可欠です。


妊娠とはひとつの生命が誕生し、お母さんのおなかのなかで細胞が分裂・分化していき、3kg前後までに成長し生まれてくるまでの期間です。
そのため、普段以上にタンパク質が必要。

妊娠中には身体のむくみに悩む人が多いものですが、
実は、これはタンパク欠乏のサインです。

タンパク質の種類の一つのアルブミンがありますが
アルブミンは血管内に水を保持するスポンジのように水を含む働きをしています。
アルブミンが減ってしまうと、この水をすえない状態になります。
その結果、血管外に水がもれ、水分が増えてしまうのです。
これがむくみになるわけです。

同時にアルブミンは身体の中で「運び屋」の役割も果たしています。
ビタミンやミネラルといった栄養を宅配便のように身体のあちこちに届けているのです。


反対に、アルブミンがない、つまり、たんぱく欠乏が起こると
いくらビタミンやミネラルといった栄養があっても
それを必要とする場所に届けることが出来ません。

このように、タンパク質は他の栄養を働かせるためにも必要なのです。

赤ちゃんの成長にとっていちばん大切なことは
身体の全ての材料であるタンパク質が充分あることです。

 

 

■ビタミンB群

なかでも、妊娠にかかわる栄養として重要なのは葉酸とB12、ビオチン、B6です。

葉酸には赤ちゃんの脳の発育を助けたり、神経を作る働きがあります。
そのため、脳がつくられるときに葉酸は不可欠です。
また、葉酸欠乏は神経管閉鎖障害の発症リスクも高めます。

神経管閉鎖障害とは脳や脊髄がうまくつくられず
管の形にならないことが原因で起こります。

2分脊髄や無脳症などもこれに含まれます。


つわりやセロトニンの母子ともに欠乏させないためにはB6が欠かせません。
夜鳴きを防ぐのもB6です(セロトニン→メラトニン)

イギリスでは生理痛やPMSのときにB6が使われることもあります。







 

■フェリチン(貯蔵鉄)という考え方


鉄は粘膜をつくる材料になります。
赤ちゃんにとって居心地のよいベッドをつくろうとするとき
粘膜はクッションの役割を果たします。


反対に鉄欠乏で粘膜がうまく作られないと、かたくて寝心地の悪いベッドになってしまいます。


鉄の働きとしては赤血球をつくったり、体内の酸素を運ぶことが知られていますが
妊娠中のお母さんは自分の体内だけでなくおなかの赤ちゃんにも酸素を届けなければならないため、
赤血球の量が増えてます。

そのため、妊娠前の倍の量が必要になるのです。


鉄は女性の美しさとも深くかかわっています。
たとえば、コラーゲン。
美容に酔い栄養としてよく知られていますが
実はコラーゲンを食べてもそのままそれが吸収されるわけではありません。
残念ながら、コラーゲンは身体のなかに入るときに分解されてしまうのです。
それを体内で再合成するときに、鉄が必要となります。

皮膚の合成にも鉄が欠かせません。

骨の合成にも鉄が関わっていて、カルシウムだけでなく鉄がないと骨をつくることができません。



このように大切な鉄ですが残念なことに、妊娠可能な年齢の殆どの女性は
潜在的な鉄欠乏なのです。


鉄は体内の様々な場所に分布していてそのうちの7割が赤血球に含まれて居ます。


そのほかには組織鉄、フェリチンに含まれて居ます。

フェリチンというのは貯蔵鉄、いわば貯金している鉄です。
「潜在的な鉄欠乏」というのは、この貯蔵鉄が少ない状態を言います。


これは、私たちの収入と支出を例に考えてみるとわりかりやすいでしょう。

収入からは、毎日住居費や光熱費、食費などが引かれていきます。
そして余った分は貯金に回せます。
ところが、収入が減ってしまった場合はどうでしょう?
住居費や光熱費といた生活費は
毎月ある程度出ていく金額が決まっています。
そのため家計が苦しいときは貯金する金額を減らして
場合によっては貯金を切り崩してやりくりするのではないでしょうか。
これは鉄も同じです。
つまり、貯金として溜め込んでいる分から減っていくのです。

貯蔵鉄が減るということは鉄欠乏ですからもちろん身体にも様々な症状が出てきます。

たとえば、頭痛、めまい、手足の冷えといったいわゆる不定愁訴のほとんどが
この潜在的な鉄欠乏が原因と考えられます。


妊娠中は普段異常に鉄が必要になることを考えると妊娠中から鉄欠乏を改善しておくことが大切です。
鉄欠乏のまま妊娠してしまうとお母さんだけでなく赤ちゃんも栄養不足になってしまいます。



おなかの赤ちゃんには、お母さんから優先的に鉄をもらう仕組みが備わっています。

そのため、貧血になったり心臓肥大を起こすなどお母さんの身体にダメージが出やすいのです。


もちろん、赤ちゃんにとっても鉄欠乏は深刻。鉄欠乏により栄養がいきわたらないと、
低体重や未熟児で生まれる可能性があります。








■潜在性鉄欠乏性貧血


「潜在性鉄欠乏性貧血」は、不妊症、妊娠しても流産しやすい、胎児の先天異常、生まれた赤ちゃんのアトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患のリスクを高めます。




このフェリチン値が40以下になりますと、潜在性鉄欠乏性状態です。

残念ながら、多くの日本の医療現場では、フェリチン値まで調べることがありませんから、見逃されてしまいます。
ヘモグロビンが基準値内でも、フェリチン値が低値では、疲労や貧血のような症状がおきます。

貧血というと、一般的には「めまい、立ちくらみ」などと考えますが、貧血の症状は多様です。







・貧血の多彩な症状

疲れやすく常にだるい(慢性疲労症状)、頭痛、肩こり、冷え性などの不定愁訴。月経痛、イライラなどの精神症状、PMS(月経前症候群)、原因不明の不妊症など



上記の症状がある場合では、まずは潜在性鉄欠乏を疑ってみてください。






特に結婚前の女性では、この潜在性鉄欠乏性が、不妊を引き起こす原因になりうることを是非知ってください。
 アメリカの不妊治療現場では、フェリチン値が40以下は不妊の原因になるとも言われていますから、医学的な観点から説明すると、少なくとも40以上になるまでは妊娠しにくいと考えます。


 またアメリカでは、元気な赤ちゃんを産むための理想のフェリチン値は100と言われます。


 たとえば卵管障害・子宮奇形などの器質的な問題・子宮内膜症などがないのに妊娠できない場合、または体外受精などの不妊治療を行っても妊娠できない場合、当クリニックで検査をさせていただくと、ヘモグロビンやヘマクリットは基準値内でも、フェリチン値が一ケタである患者さまがほとんどです。

 潜在性鉄欠乏性貧血が、不妊症の原因の大きな一つであることを知ってください。
 たとえ高齢出産でも、フェリチン値などの数値がよく、栄養状態がよければ、20代のお母さんにひけをとらない元気な赤ちゃんを産むことが可能です。

http://www.clinic-hygeia.jp/ex/ex-sterility.html








■ほんの少しのお酒で・タバコでも、赤ちゃんには影響大

お母さんが妊娠中にお酒を飲んでいる場合、
あなかの赤ちゃんの身体や脳の発育が悪くなる。
妊娠前は仕方ないにしても
妊娠が判明したら、
少なくとも、主産して自宅に戻るまでは
お酒は我慢して頂きたい。



もう一つ問題なのが喫煙です。
妊娠中のお母さんに止めていただきたいのはもちろんですが
タバコの場合、副流煙も大いに悪影響。

この副流煙には、直接吸い込む煙よりも有害な物質が多く含まれて居ます。
部屋の窓を開けて吸っているから大丈夫、換気扇の下で吸っているから問題ない、ということはないのです。


1日に吸うタバコの本数と赤ちゃんの出生体重の関係を調べたデータがあります。

それによると、タバコを全く吸わないお父さんの子どもに比べて
1日11本以上吸うお父さんの子のほうが出生体重が130gも低かったのです。


これは、たとえお母さん自身がタバコを吸わなくても
身近に居る人がタバコを吸っていれば、その煙の影響で赤ちゃんの低体重を招くことを
意味しています。
産まれたあとも、お父さんやお母さんが喫煙していると
乳幼児突然症候群(SIDS?)の確率が高まるのだそうです。





















「妊娠体質」に変わる食べ方があった!
http://www.amazon.co.jp/35%E6%AD%B3%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E6%A0%84%E9%A4%8A%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%94%E3%83%BC-%E3%80%8C%E5%A6%8A%E5%A8%A0%E4%BD%93%E8%B3%AA%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%82%8B%E9%A3%9F%E3%81%B9%E6%96%B9%E3%81%8C%E3%81%82%E3%81%A3%E3%81%9F-%E5%AE%9A-%E7%9C%9F%E7%90%86%E5%AD%90/dp/4413037405


















分子整合医学(オーソモレキュラー・栄養療法)を受けられる診療機関検索
http://www.orthomolecular.jp/

1 件のコメント:

  1. 鉄、サプルメントでとるのはちょっとたいへんかも
    (吸収効率の問題で)。
    とくにお茶と摂取するとタンニンと結合しちゃって、
    溶けなくなるので、ダメなんですよ
    (食事中にお茶やコーヒーをとるべきでない主な理由はこれ)。
    ちなみにタンニンと鉄ってのは古代のインクの処方ですね。
    真っ黒になるやつ。

    ヘム鉄が吸収効率がいいんで、おススメしたいところ。
    ヘム鉄を多く含む食材はたとえばレバー。  
    でも、うちの学生に訊いても、
    レバー嫌いって子が多いんだよなー。
    いまのうちに練習(?)しなよ、
    妊娠したとき大変だぜって脅かすんですが。

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