2013年3月15日金曜日

強迫性障害(OCD)と上手に付き合っていくために



◇根本には罪悪感


精神分析的にOCDは不安と罪悪感とを拭い去るための行動らしい。


根本的には自分が存在していることへの罪悪感。

・存在への罪悪感→自己肯定感が低い
・自己肯定感が低い→自分がここに居ていいのかいつも不安
・自分の存在への不安→生きていることそのものへの不安。


間違った罪悪感を背負わされたこと、そして、
自分(の存在)への猜疑心を徐々に改善していくことがOCDを快方に向かわせるでしょう。















1.概念



■強迫観念の本質


強迫観念の本質のひとつはたぶん「罪悪感」だと思うんですよね。
これをやらなかったら「すごい悪いことが起こりそうだ」とか「やっぱり俺は駄目な人間なんだ」というネガティブな感情が起こる。
そういうプレッシャーで、精神がピリピリ追い詰められてくる。


でも、本来、習慣化していたことを1日でもやらないと
気分が浄化されないと言うのはまず身体的実感としてあるはずなんですよ。


たとえばランニングを自分に課している人だったら「この前の走らなかった日は、気分がどんよりして嫌な一日だった」っていう記憶が多少でも強迫性をおびるようになり、「今日も走らないと」というふうになると思います。
でも、その時「1回でも休んだら、自分はダメ人間に逆戻り」というところまで極端に思い込んでしまうと
不安も増して強迫観念になる。

 





■強迫性障害=罪悪感


こういうことから本人に出てくる感情は「罪悪感」です。


手洗い強迫をやっている子にきいてみなさい。
本人だっていいとおもってやっているわけがあない。


会社やデートに遅れると分かっていても、カギを掛けたかどうかを何度も確認しなければならない自分にうんざりしているんだから。


















2.対策


 

■心配が治る簡単トレーニング


悪いほうに考え出したら、どんどん止まらなくなるのも不安の一つの特徴です。

何か一つのことが不安になると、それに関連する別の不安が次々と浮かんできて、ますます不安になる、ということが起きるからです。



たとえば、家を出た後、「カギを閉めた?窓閉めた?」など、確めに帰りたくなる、
という人もいるでしょう。

一回くらいの確認行為は、ミスをなくすためにも、むしろやったほうがいいことです。
しかし、度が過ぎると、何度確認しても落ち着かない、心配がおさまらない、
ということにもなりかねません。


そうならないように、不安をコントロールするトレーニングをしてみましょう。

 

 

 


■「確認癖」に陥らないために


「ある程度の不安は肯定する」ということと、「不安をコントロールできるようにトレーニングしよう」
ということは、ちょっと矛盾するように感じられるかもしれません。


でも実際には矛盾することではありません。



これは、頭の中の「不安のセンサー」の「基本設定」のずれをもとに戻すためのトレーニング、と考えるとわかりやすいと思います。
このような状況では、「不安」を感じるセンサーの基本設定がずれていて、
「小さなこと」でも「大変なこと」と受け取ってしまっているのです。



不安は「安全が確保されていない」ことを知らせるセンサー。


そのセンサーの基本設定がずれていたら、本来は安心してよいはずのことにも不安を感じてしまいます。
そうなると、「安全でなさそうなところ」ばかりが目に付くどころか「安全でなさそうなところ」を
頭が勝手に想像していくようになってしまいます。
すると、「基本設定」がますますずれていってしまうのです。

ですから、こんなときのトレーニングは、「センサーの基本設定」をいつも通りのところに戻す、
という感覚で行うとよいでしょう。


何かについてとても不安になっても、その状況に耐えてみたら、結果として思ったような恐ろしいことは怒らなかった。
そうした体験を積み重ねることで、「この程度の事に対して強い不安を感じる必要はない」ということを身体に覚えさせていくのです。

もっともシンプルなやり方としては、たとえば、「カギを閉めたか確認するのは一回まで」と決める、
というものがよいでしょう。


人間は完璧でないので、もちろんたまにはうっかりミスすることがあります。
一回確認したら、後はどれほど不安になってもグッと耐える。
そして、家に帰ったとき「きちんとできていた」という成功体験を積み重ねてください。









■もしも「失敗してしまった…」というときは


このような「確認癖」が強くなるのは、実際に思わぬ失敗をした後、という場合が多いものです。
つまり、ある意味では衝撃への反応だとも言えるのです。

まったく問題がないだろうと思っていたところで失敗する、というのはショックを受けえることです。
確認癖が強くなったタイミングと「ありえないミス、考えられない出来事」のタイミングは一緒じゃなかったですか?



すると、「二度とこんな失敗はしたくない」と思って、
危険がありそうなところばかりに目が向いてしまうのです。
何をしても「足りないのではないか」と思ってしまう、
というのはそういう現象です。


衝撃を受けたときの対応は、自分が衝撃を受けたことを認め、
元通りの生活に戻る、とうこと。



何らかの失敗の後に「確認癖」が強くなっている、という人の場合、
まずは、「自分は衝撃に反応しているのだな」と認識しましょう。
その上で、今できること(失敗してしまった箇所の確認を一回だけする、など)を加えて、
元通りの日常に戻ればよいのです。








■「今までうまくやってきた」ということに注目しよう

特に失敗したわけでもなく、風邪気味だったり疲れがたまっていたり、なんとなく心も身体も調子が悪くて、
「確認癖」が強く出てくることもあります。


そのようなときには「自分は今まで失敗せずにやってきた(過去にはできていた自分が居たはず)」という事実を重視するようにしましょう。


不安は「安全が確保されていない」ことを知らせる感情。


しかし、よくよく考えてみれば、今までの人生は無事に過ごしてきたのです。


自分ではあまり意識していなくても、今まできちんとやってきているのです。
それを再認識することによって、「安心の杭」を一つ打ってみましょう。
「ここまで、私はちゃんとやってきた」と自信を持つのです。


そうすると、ぐらぐら不安だったところに、
ちょっとしたよりどころができます。
後は、「確認行為は一回だけ」と決めて、「やっぱり大丈夫だ」という証拠を固めていきましょう。


この考え方は、一回の確認行為を行う時間がないようなときにも、役立ちます。
鍵をかけたか気になるけれど、戻って確認する時間がない、という時もあるでしょう。
戻って確認する時間がないので、そのまま会社や学校などに出かけなければなりません。
あとは、家に帰るまでの時間をどんな気持ちで過ごすか、ということだけです。


そんなときには、今まで失敗していない自分を信じるようにすれば、
外出中の時間を不安を抱えたまま過ごす、ということを防げるでしょう。


これも「大きな視野」を持つと不安が軽くなる、という一つの例です。

今まで大した意識を向けずにやってきたときにも自分は失敗していない、そうやって今まで積み重ねてきたこと全部をみれば、
「今回大丈夫だろうか…」という”一点集中”から自由になることができます。

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