ここにあなたがいないのが せつないのじゃなくて
ここにあなたが いないと思う事がせつない
(大事manブラザーズバンド - それが大事)
「ここに誰かは居てくれても、ここには誰も居ない。孤独だ。寂しい」…
実体として愛しい人が傍に居るかどうかではなく、「ここに居ないと感じられること」が寂しさを産むのだろう。
◇寂しさは物理的な距離と比例しない
隣に居なくても「つながり」を感じていれば一人の夜も何とか耐えられる。
寂しさに殺されてお酒に頼るようなことをしなくても、心の中の恋人が自分を支えてくれている。
一方、隣に誰かが居たところで、「私は孤独だ」と感じる時がある。
誰かと一緒に居ても「独り」を感じるようなシーンはたたある。
そういうときは、物理的な意味で人間は傍に居るかもしれないが、「そこには誰も居ない」のである。
「つながり」を持てない相手と過ごして寂しさを誤魔化そうとしているけれど結局、そういうことをやっている自分に虚しさを感じてもっと寂しくなっていく。
特に、寂しいから誰かに一緒に居て欲しいという理由で、一緒に居てくれそうな相手に自分を隠しながら同じ時間を同じスペースで共有したところで、
ぜーんぜん、豊かになっていきませんよね。
自分を偽って付き合っている相手とどれだけ物理的な距離が縮まろうとも、それは自己嫌悪と寂しさと虚しさが増していくだけなのである。
■「寂しさ」の定義とは
一般に、「寂しい=孤独」という感情は「一人でいる事」と関連しているように考えられていると思います。
寂しいときに、とにかく人と話したくなる、ということもありますね。
ところが、一人でなくなると寂しさは忘れられるのか、というと、実はそうでもないことを誰もが知っているはずです。
誰かと一緒にいても、わかってくれないと思うとき。
何人かで遊んでいても、自分だけがなじんでいない感じがするとき。
そのようなときは、一人で居るよりもさらに寂しいことすらありますね。
■正体は「誰かとつながりたい」という気持ち
寂しさを感じるシーンは多様です。
でも、そこには共通点を見つけることが出来ます。
それは「つながりがない」ということ。
「寂しい」というとすぐに思いつく「一人ぼっち」は、人とのつながりがない、という状況。
人と一緒にいても心が通い合わなければ、「つながれない」という意味では同じです。
自分の存在意義がないように思うときも、社会から取り残される感じがしますよね。
これも社会との「つながりがない」という感覚です。
生まれてこなければよかった、と寂しく思うときは、世界との「つながりがない」とき。
こうやって、寂しさというのは、何らかの意味で、「つながりながない」ことを示す感情、と考えてみると、
寂しさから脱するための鍵は、「つながり」ということになります。
■寂しさ=孤独??
ただ、四六時中誰かと一緒にいることはできませんし、「孤独力」がない人は、人と一緒にいても結局、満たされないということもよくあります。
「孤独力」というのは、自分がありのままの自分と一緒に居る力であると言えます。
ありのままの自分と一緒にいられない人は、他人と一緒に居ても結局は自分とのつながりを感じられず、寂しいまま、ということになってしまいますね。
■「嫌われないために演じている自分」では、寂しさは埋まらない
「つながり」が寂しさから脱するための鍵、と言われると、「そんなのは当たり前だ、だから一人だと寂しいのだ」と思うでしょう。
しかし、ここでお話ししていく「つながり」は、
他人との目に見えるつながりの事だけを言っているのではありません。
独りぼっちのときにも感じられる「つながり」のことなのです。
それは、自分自身とのつながり。
自分自身とのつながりとは何か、というと「ありのままの自分」を受け入れる、という意味です。
自分のどこかを否定したり、どこかを取り繕ったりすることなく、あるいは自分自身に評価を下したりすることなく、
ありのままの自分と居られることが、「自分自身とのつながり」ということになります。
人と一緒にいて心からの「つながり」を感じるのは、ありのままの自分を受け入れてもらえるときです。
このときには、もちろん相手ともつながっているのですが、ありのままの自分ともつながっています。
ところが、同じように人と一緒にいても、話せば話すほど「わかってもらえない」と寂しさが増すこともあります。
そのようなときは、ありのままの自分を受け入れてもらっているときです。
あるいは、自分自身が「いい人」を演じてしまって、本心を隠してしまう、ということもあります。
こんなときには、評判はよくなるかもしれませんし、表面的な「つながり」はできるかもしれませんが、心の中には満たされない寂しさが積もったりするもの。
寂しさを人との関係で解消しようとするのであれば、自分のありのままを受け入れてくれる人と共に過ごすのが良いでしょう。
■ありのまま受け入れてくれる人でまわりを固めよう
そんな環境をつくることができれば、寂しさを感じることもなくなるはずです。
■「ありのまま関係」の会話は宝物
A「ねえ、いままでの人生の中で、どの瞬間が一番幸せだった?」
B「瞬間って言うか、親しい人と会って、遊んで、なんとなくおしゃべりをしているときが一番幸せだったよ」
A「だよね。私も結局そういう何気ないひと時が、一番好き」
B「宝物だよね」
(かわいそうだね? 綿矢りさ 文藝春秋)
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